HIPHOPに興味を持ち始めるにつれて、様々な名詞が飛び交うようになり、その度に意味を調べている方も少なくないと思います。今回は、そのようなHIPHOP初級者向けに、よく使用されるフレーズを抜粋!これをみて、HIPHOPにまつわる知識を広げよう!
基本用語
ヒップホップ(hiphop)
ストリートカルチャーの総称。ラップ・ブレイクダンス・グラフィティ・DJの4要素を総称したものであり、“かっこいい”を意味する「HIP」と、“弾ける”を意味する「HOP」を組み合わせた造語です。
ラップ(rap)
一般的に韻(後述)を用いる歌唱法。※必ずしも韻を踏むことだけがラップではなく、フロー(後述)などのラップをする上で必要な要素があれば、ラップと称されることもあり。
トラック(track)
ラップする上でのバックミュージックを指す。メロディーラインに対して、ドラム音やベース音、クラップ音を足したモノが一般的。
ビート (beat)
トラックと同意義。
フリースタイル(free style)
ビートに対して即興で自由な型のラップをハメること。(アカペラも同様) 特に即興性の高いものは”トップ・オヴ・ザ・ヘッド”と称します。1999年の“B-BOY PARK”にて、フリースタイルMCバトルの開催を皮切りに、昨今のフルースタイルバトルブームまで続いております。このフリースタイル(バトル)は、KREVAやMC漢、般若などを一躍有名にし、それに続くR指定・晋平太や次世代ラッパーが世に出るきっかけともなったものであり、日本語ラップ界に大きく貢献しております。
人物用語
ラッパー (rapper)
ラップを用いて表現するアーティストのこと。
MC
ラッパーと同意義。元々、HIPHOPの黎明期には、MCにアーティストの意ではなく、パーティー等の進行役を意味するMC(master of ceremoniesの略)という呼び名が当てられていましたが、後にそのようなMCがラップを始めるようになり、MC=ラッパーを指すようになったと言われております。
DJ
ディスクジョッキーの略。HIPHOPにおけるDJは、クラブなどのショーケースで、ターンテーブルなどの機材を用いて、曲と曲のBPMや音量の調整を行い、タイミングを見計らいながら音を違和感なくクロスさせ、途切れることなく音楽をかけ続ける技術者を指します。また、毎年DJの技術を競う世界大会が開催され、「DMC」や「Bull 3Style」が有名です。
◊参考 DJ 松永 (2019年度 DMC WORLD CHAMPION)
◊参考 DJ Shintaro (2013年度 Red Bull Thre3style WORLD CHAMPION)
トラックメイカー(ビートメイカー)
トラックを作成する人を指す。基本的にMPCなどのサンプラーやMIDIキーボードとPCをリンクさせ、音楽ソフト上でトラックをメイクする方式が一般的です。基本的にトラックメイカーは、ラッパーのレコーディングに立ち会い、音源のプロデュースまで行うことが多いです。
prod.〇〇とは、その楽曲の構成などをプロデュースした人物を指し、その音源を制作したトラックメイカーが担うことが大半ですが、海外などのトラックメイカーからビートを買い、プロデュース業を専属的に行う人物もおります。
◊参考 Chaki Zulu(トラックメイカー)
◊参考 Tofubeats (トラックメイカー)
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ヘッズ
HIPHOP系の音楽を聴くリスナーのこと。
B-BOY(B-GIRL)
ブレイキン・ボーイ(ガール)の略。元来はブレイクダンスをする人のことを指していたましたが、現在はストリートファッションを好む人のことを指す場合がほとんどです。
ラップ用語
韻
似た響きの言葉の繰り返しを指す。単語単位に限らず、文全体として似た響きを繰り返したりもする。俗に「韻を踏む」と表現します。韻には、「押韻」と「頭韻」という手法があり、すべての言葉が韻を踏むこと(母音の音がすべて一致すること)を「全踏み」などと言います。
押韻 … アメリカ( A ME RI KA ) ⇒ 宇都宮(U TSU NO MIYA)
頭韻 … ふるさと (HU RU SA TO) ⇒ スルメイカ(SU RU ME I KA)
全踏み … 水墨画 (SU I BO KU GA) ⇒ ぐりとぐら(GU RI TO GURA)
ライム(rhyme)
韻を踏むこと。ライミングということもあります。
リリック(lyric)
曲を構成する歌詞の総称。リリックは、ラッパーの人生感や感受性、韻の個性などが融合して構成されています。また、リリックに一定以上の評価があるラッパーを「リリシスト」と言うこともあります。
フロウ(flow)
ラップにオリジナルの抑揚をつけて、リズム感を出す手法のこと。ラッパー各々でフロウの表現方法が違い、リリックの内容とこのフロウがラッパーのオリジナリティを表現する重要な要素です。
バース (verse)
曲中のいわゆるAメロ。1バースというと、16小節が一般的です。
フック (hook)
曲中のいわゆるサビ。必ずしも音源にフックがあるわけでなく、マイクリレー形式などは各ラッパーのバースを際立たせるためにフックがなく、バースのみの構成になっている場合があります。
トラック用語
BPM
Beat per minuteの略。テンポの単位であり、1分間に何拍打たれるかを表しています。このBPMの数値が高いほど曲調のリズムが早くなり、数値が低いほど曲調のリズムが遅くなります。(平均100程度が一般的)
◊参考 BPMが早い曲 Creepy Nutz/合法的なトビ方ノススメ
◊参考 BPMが遅い曲 KUTS DA COYOTE / ラブホなうfeat. T.O.P.
サンプリング
既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築すること。HIPHOPのトラック制作では、よく使用される技法です。MPCなどの機材を用いて、ネタ(サンプリング元)をチョップしながら、トラックを制作することが一般的。
◊参考 【DTM】初心者による初心者のための「ビートメイク術」!!
トラップビート
ビートジャンルのひとつ。攻撃的な曲調のスネアの連打やベースライン、サイレンやシンセによる派手な電子音で構成され、基本的にリリックも攻撃的な内容になっております。2010年頃から、USで”トラップビート”が大流行。日本も同様にそのトラップをうまく日本語ラップに昇華した「KOHH」が一躍大人気となり、日本語ラップ界に新たな旋風を巻き起こすとともに、今日に至るまでの次世代のラッパーへ多大な影響を与えることになりました。”ドリル”とも称されることがあり。
◊参考 KOHH / 結局地元 feat. Y’S
オルタナティブヒップホップ(エモラップ)
ビートジャンルのひとつ。トラップビートとグランジやエモのようなオルタナティブロックに影響されたサウンドで、リリックもラッパー自身の内面の弱さを吐露するような憂鬱さがあります。”トラップビート”が強さを表現しているとすれば、”オルタナティブヒップホップ”は弱さを表現しております。
◊参考 PETZ/ ALL NIGHT LONG
EDM
「Electronic Dance Music」の略。ビートジャンルのひとつで、高速のBPMと電子音を多用し、躍動感のあるトラックが特徴的。
◊参考 Monster Rion / Secret Dancehall feat. IO, YOUNG JUJU & Thelma Aoyama
さらに詳しくジャンルの詳細を知りたい人は ⇒ ヒップホップ サブジャンル A to Z
その他
ディス (dis)
ディスリスペクトの略。
ビーフ(beef)
アーティスト間の論争、(非物理的な)喧嘩のこと。1984年に放送されたアメリカのハンバーガー・チェーンのCMで、架空のチェーン店がハンバーガーと称する、クッションのように大きいパンに挟まった小さな肉におばさんが憤慨して「Where’s the beef?(肉はどこにいったの?)」と言ったことが語源。
日本語ラップ界の主なビーフ
- 2004年 「K DUB SHINE」VS「DEV LARGE」
- 2009年 「SEEDA」VS「TERIYAKI BOYZ」
- 2014年 「dodo」VS 「サイプレス上野」
- 2016年 「MC漢 a.k.a GAMI」 vs 「KNZZ」
ワック(wack)
スラングで不出来な、あるいは偽物を指す。 例 ワックMC…イケてないラッパー
a.k.a
As known as の略。例 〇〇 a.k.a △△ ⇒ △△として知られている〇〇
レペゼン
Representの意。例 レペゼン〇〇 ⇒ 〇〇を代表(〇〇には主に地域や組織名を名乗る)